2026.01.10その他

なぜ骨格診断は誤解されやすいのか ――ラインだけで語ると、何が見えなくなるのか

骨格診断という言葉が広く知られるようになり、
「自分の体型を理解する」「似合う服を知る」ための手段として、
多くの方に活用されるようになりました。

一方で、診断を受けたあとに
「言われた通りにしているのに、なぜかしっくりこない」
「説明は分かるけれど、実感として腑に落ちない」
と感じる方が増えているのも事実です。

それは、診断が間違っているからでも、
ご本人の感覚がズレているからでもありません。

多くの場合、
骨格診断が“どこを見て、何を説明している技術なのか”が、
正しく共有されていないこと
に原因があります。


なぜ骨格診断は、誤解されやすいのか

骨格診断が誤解されやすい最大の理由は、
「結果」だけが先に広まり、
理論の前提や構造が、十分に語られていないことにあります。

たとえば、

  • ストレートタイプは上半身に厚みがある

  • ウェーブタイプは下半身が太りやすい

といった説明は、決して間違いではありません。

ただし、それは現象の説明であって、
理由の説明ではないのです。

「なぜ厚みが出やすいのか」
「なぜ同じ体重増加でも、付き方が違うのか」

この部分を飛ばしてしまうと、
骨格診断は
「見た目の分類」
「体型当てクイズ」
のように受け取られてしまいます。

本来、骨格診断が見ているのは
体型そのものではなく、
身体を構成している構造の特性です。

それが結果として、
「厚み」
「ライン」
「太り方」
として外側に現れているに過ぎません。


なぜ「ライン(形)」だけで語ると、説明が破綻するのか

骨格診断の説明で、もっとも多く使われているのが
「直線的」「曲線的」「メリハリがある」といった
ライン(形)に関する言葉です。

これらは服選びにおいて重要な視点であり、
決して不要なものではありません。

問題は、
ラインだけで、すべてを説明しようとしてしまうことにあります。

たとえば、
同じようなメリハリのあるラインを持つ人でも、
ハリのある素材が美しく映える人と、
ハリのある素材に負けてしまう人がいます。

また、同じようにスタイリッシュなラインを持つ人の中にも、
落ち感のある素材を軽やかに着こなせる人と、
落ち感のある素材が重たく見えてしまう人がいます。

もし骨格診断が
「ライン=似合う素材」
で完結する技術であれば、
こうした違いは生まれません。

ライン(形)が、
身体の外側に現れる設計図であるのに対し、
素材との相性は、
身体の内側の性質が顔や全体の質感としてどう現れているか
大きく影響されるからです。

そのため、
形は合っているはずなのに、
素材だけがちぐはぐに感じられる、
という現象が起こります。


筋肉・脂肪・骨という視点がないと、何が起きるのか

身体の印象は、
外側に現れている形だけで決まるものではありません。

同じような体型に見えても、
その身体が

  • 筋肉を主とした構造なのか

  • 脂肪を主とした構造なのか

  • 骨の存在感が前に出やすい構造なのか

によって、
服を着たときの印象は大きく変わります。

筋肉が優位な身体では、
組織の密度が高く、
内側から押し返す力が強いため、
ある程度のハリや密度を持つ素材でなければ、
身体の立体感に負けてしまいます。

脂肪が優位な身体では、
構造がやわらかく、
表層に厚みが出やすいため、
硬すぎる素材を用いると、
身体の丸みや動きとちぐはぐな印象を生みます。

また、骨の存在感が前に出やすい身体では、
表層が薄く、
線やエッジが印象として現れやすいため、
素材の重さや厚みを誤ると、
身体よりも服の存在感が先に立ってしまいます。

これらは
「着こなし」や「感覚」の問題ではなく、
身体を構成する組織の優先順位と、
服の素材特性との物理的な相性
によって起きる現象です。

しかし、
筋肉・脂肪・骨という視点を持たずに
外側に現れた形だけで説明しようとすると、
なぜ似合う人と似合わない人が分かれるのかを、
正確に説明することができません。


骨格診断を、「当てはめる技術」から解放するために

骨格診断は、
人を型にはめるための技術ではありません。

本来の役割は、
身体の外側に現れている形と、
内側を構成する組織の性質を丁寧に読み取り、
その人の身体に無理のない選択肢を示すことにあります。

ライン(形)は、
服の設計を考えるうえで欠かせない情報です。
しかしそれだけでは、
素材の重さや密度、動きとの相性までは説明しきれません。

一方で、
筋肉・脂肪・骨といった
身体を構成する要素の優先順位を踏まえることで、
「なぜこれはしっくりきて、なぜこれは違和感が出るのか」
という問いに、
感覚論ではなく構造として答えられるようになります。

形として現れる情報と、
質感としてにじみ出る情報を分けて考えることで、
骨格診断は
「当たる/当たらない」という評価軸から離れ、
実用性と再現性を持った技術へと戻っていきます。

骨格診断とは、
流行に乗るための知識ではなく、
自分の身体を正しく扱うための技術。

その原点に立ち返ることが、
似合う・似合わないの迷いから解放され、
自分の素材を誇りをもって使いこなすための、
もっとも確かな近道だと考えています。

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