
2026.01.05その他
プロのカメラマンに撮ってもらった写真を見て、
「整っているのに、どこか自分ではない」
そんな違和感を覚えたことはないでしょうか。
一方で、
スマートフォンで何気なく撮ったスナップ写真の方が、
「これは好きだ」「これは自分だ」
そう感じることも、決して珍しくありません。
なぜ、そんなことが起こるのでしょうか。
これは、プロの腕が足りないからでも、
年齢のせいでもありません。
理由はもっと構造的なところにあります。
スナップ写真が好ましく見える最大の理由は、
情報が適度に省略されていることです。
スマートフォンの写真は、
・光がフラットすぎない
・陰影が自然に残る
・解像度がやや甘い
・距離が近すぎない
といった条件が重なりやすく、
顔や身体のすべてを「正確に」写しすぎません。
そのため、
・立体感が自然に保たれる
・気になる部分が強調されにくい
・全体の印象が先に伝わる
という状態が生まれます。
結果として、
「自分が自分として成立している感じ」
を受け取りやすくなるのです。
一方、プロの撮影ではどうでしょうか。
プロの現場では、
・光を均一に当てる
・情報を正確に写す
・輪郭や質感をはっきり出す
ことが基本になります。
これは「悪いこと」ではありません。
むしろ、商品撮影やプロフィール写真などでは、
非常に重要な要素です。
ただしこの条件下では、
・隠れていた情報がすべて表に出る
・陰で成立していたバランスが崩れる
・年齢や質感が、そのまま可視化される
ということも起こります。
その結果、
「客観的には整っているのに、主観的にはしっくりこない」
という違和感が生まれやすくなります。
ここで誤解してほしくないのは、
プロに撮ってもらうこと自体の価値が下がるわけではない
という点です。
プロの撮影には、
・記録性
・再現性
・第三者に伝える力
があります。
特に、
仕事用プロフィールやメディア掲載では、
「個人的に好きかどうか」よりも、
「どう伝わるか」が重要になる場面も多い。
つまり、
・スナップ写真=自分の感覚に近い
・プロの写真=他者に伝わる情報
この役割の違いを理解しておくことが大切なのです。
では、
スナップ写真で感じる「いい感じ」を、
プロの撮影でも活かすことはできないのでしょうか。
答えは、可能です。
そのために必要なのは、
撮り方のテクニックではなく、
自己理解です。
・光を当てた方が良いのか、影を残した方が良いのか
・ハリを強調すると魅力が出るのか、情報を引いた方が良いのか
・シャープな写りが合うのか、柔らかい写りが合うのか
日頃のスナップ写真で
「これは好き」と感じた写真には、
必ず理由があります。
その理由を言語化し、
カメラマンと共有できるかどうかで、
仕上がりは大きく変わります。
写真は、
きれいに写るかどうかを競うものではありません。
光を足せば成立する人もいれば、
情報を引いた方が魅力が立ち上がる人もいる。
はっきり写すことで強さが出る人もいれば、
曖昧さの中でこそ、その人らしさが伝わる人もいます。
どれが正解、という話ではありません。
大切なのは、
「自分はどの条件で、最も自分らしく見えるのか」
を知っているかどうか。
写真に違和感を覚えるとき、
それは年齢の問題でも、
技術の問題でもなく、
自己理解と写し方が、少しずれているだけなのかもしれません。
写真は、自己演出の道具ではなく、
自己理解の延長線上にあるもの。
そう捉えると、
写真との付き合い方も、
年齢との向き合い方も、
少しだけ穏やかになる気がしています。